簡単な歴史解説」では、イングリッシュハンドベルミュージックベルという二つの異なるハンドベルが生まれた経緯について書きました。このページでは、それぞれの長所と短所をご紹介します。

価格はミュージックベルのほうが断然安い

イングリッシュハンドベルは非常に高価な楽器です。私達が使用しているマルマーク社のイングリッシュハンドベルは、他メーカーと比べると少し安いですが、それでも3オクターブで150万円以上します。

一方、ミュージックベルは最も高いものでもイングリッシュハンドベルの10分の1以下で、安いものですと8音が3,000円台で売られています。

詳しい価格については、「イングリッシュハンドベルを購入する」「ミュージックベルを購入する」をご一読ください。

持ち運びが楽なのはミュージックベル

イングリッシュハンドベルは、高音域が2~300gから低音域が7~8kgまでと幅広い重量を備えた楽器で、低音になればなるほどベルは大きく重くなります。(男女混合チームで男性が低音域を担当することが多いのはこのためです。)

簡単に持ち運びできる楽器ではありませんので、運搬には車が必要です。私が所有する3オクターブのベルは、一番重たいベル(C4)でも1.5kgほどですが、それでも練習のたびにハンドベルケース4つを持ち運ぶのは一苦労です。

一方、ミュージックベルは、高音域から低音域まで、全てのベルの大きさ重さがほぼ同一に作られています。例えば、23音のウチダのミュージックベル(MB-S23)は、ベル1つの重さが100g以下で、23音全てを専用のケースに入れても合計で約3kgと持ち運びが簡単です。

【C4のイングリッシュハンドベル(左)とミュージックベル(右)】
C4のイングリッシュハンドベルとミュージックベル

【3オクターブのイングリッシュハンドベルのケース(左)と23音のミュージックベルのケース(右)】
3オクターブのイングリッシュハンドベルのケースと23音のミュージックベルのケース

ミュージックベルは誰でも簡単に音を鳴らすことができる

イングリッシュハンドベルとミュージックベルは、クラッパー(内側の振り子)の構造に違いがあります。どちらもクラッパーがキャスティング(鐘の部分)を叩いて音を鳴らすというしくみは同じですが、イングリッシュハンドベルはクラッパーが一方向だけに動くのに対し、ミュージックベルはクラッパーが全方向に動くので、誰でも簡単に音を鳴らすことができます。

イングリッシュハンドベルもコツをつかめば簡単に音を鳴らせますが、ミュージックベルはイングリッシュハンドベルと比べて軽量で、より簡単に音を鳴らせる構造になっていますので、身体の不自由な方やお年寄りの方でも楽しめます。

【イングリッシュハンドベルの構造】
イングリッシュハンドベルの構造(外側)

イングリッシュハンドベルの構造(内側)

【ミュージックベルの構造】
ミュージックベルの構造(外側)

ミュージックベルの構造(内側)

音色はイングリッシュハンドベルの右に出るものなし

さて、これまでミュージックベルの長所ばかり挙げてきて、イングリッシュハンドベルの短所が目立つ形となってしまいましたが、それらの短所を補って余りある魅力がイングリッシュハンドベルにはあると思います。それが、「天使のハーモニー」といわれる素晴らしい音色です。

「ウチダのスーパーエクセレントシリーズ」は、イングリッシュハンドベルに最も近い音を鳴らすことができるミュージックベルです。しかし、イングリッシュハンドベルの音色と聴き比べてみると、その差は”一聴瞭然”だと思います。